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メルマガ第5号(2019年9月)

日下部・グリフィス基金メルマガ会員の皆さま

 この号では、最近ラトガース大学のアジア学科長であるPaul Schalow教授(日本文
学の専門家)が送ってきました、グリフィスの自筆入りの本についてご紹介します。
 グリフィスは生涯の間に実に多くの本を書きました。中でも日本に関するものが重
要で、いずれも周到な調査に基づいた、学識と洞察に富むものです。何と言っても、
明治維新直後の激変する日本を自ら体験し、また当時の日本の指導的地位にあった人
達との広範な交友関係にも恵まれました。
 そのユニークな立場から、類まれな文才を駆使して書かれた諸作品は世界の日本学
者にとって大変貴重な資料です。中でも「ミカドの帝国」、「日本民話の世界」、
「日本の宗教」などが知られています。

ここでご紹介する本は1887年に出版されたMatthew Calbraith Perry - A Typical
American Naval Officer - です。あの黒船のペリー提督の生涯と業績を綴った最初
の伝記で、欧米のペリー研究では現在でも最も引用される基本書の一つです。グリフィ
スのペリーとの縁は、実はグリフィスがまだ6歳だった1850年に、父親に連れられ
て行ったデラウェアの港で、蒸気船サスケハンナ号の進水式を見た経験に遡ります。サ
スケハンナ号はペリーが浦賀に来航した時の乗船となりました。ペリーは1858年、
グリフィスは14歳の時に亡くなっていますので、本人に会うことはありませんでした
が、ペリーの「日本遠征記」を調べ、海軍の関係者などに取材して書かれています。
 今回寄贈を受けたものは写真のとおりかなり痛んでいますが、見開きにグリフィスの
自筆で、E. Warren Clark宛の献辞が書かれています。Clarkは、グリフィスのラトガ
ース時代からの友人で、グリフィスの推薦でやはり明治初期の日本(静岡)に渡った教
育者でした。この本の協力者の一人として序文で言及されています。
 送られた本は、福井大学図書館のグリフィスコレクションに寄贈させてもらいました。

理事長
細谷龍平

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